
スーパーやデパートの精肉コーナーへ行くと、「ばら」や「ロース」、「かた」などさまざまな部位の牛肉が並んでいます。牛肉をメインにした料理を作るために買い物へ行ったものの、その種類の多さにどの部位を買えば良いのか迷ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは各部位の特徴を踏まえた上で、煮物などの煮込み料理におすすめの牛肉の部位をご紹介します。適した部位を選んで美味しい煮込み料理を作りましょう。
牛肉の部位ごとの特徴

同じ牛から取れる肉でも、部位によって肉質には大きな差があります。肉質が柔らかい部位はステーキやグリルなどの焼き料理に向き、固い肉は加熱すると柔らかくなるためシチューなどの煮込み料理に向いています。それでは、どの部位が柔らかく、どの部位が固いのでしょうか?
一般的には、よく運動する筋肉の部位は肉質が固めです。逆に、筋肉の運動量が少ない部位は肉質が柔らかくなっています。固い部位は長く煮込めば煮込むほど柔らかくなりますが、一方でもともと柔らかい部位は長時間煮ると逆に固くなってしまうため、料理に応じて使い分けることが重要です。
煮る時間が短めの煮物料理には

調理時間が30分以内の煮物料理には「かたロース」と「ばら」が適しています。煮物を作る際には、ぜひ参考にしてください。
【1】かたロース
かたロースは味が非常に良いのですが、スジや膜が他のロースに比べて多いため、厚切りにして使う料理には不向きです。薄切りにして肉じゃがなどの煮物に用いたり、すき焼きやしゃぶしゃぶに使用したりすると良いでしょう。
【2】ばら
ばらは味が濃厚な部位のため、牛丼や炒め煮などの薄切りにしてさっと煮るような料理に向いています。また、ばらは独特のうま味を持っているため、一緒に煮ることで料理全体に深みを出すことができるのも特徴です。
じっくり煮込む料理には
長時間じっくりと煮込む必要がある料理を作る際は、適した部位が若干異なります。ビーフシチューなどの煮込み料理を作る際は、「かた」「ばら」「そともも」の3つの部位がおすすめです。
【1】かた
かたは肉の味が濃厚な部位であり、薄切りにしてすき焼きやしゃぶしゃぶにしてもおいしくいただけますが、ゼラチン質が多いため煮込み料理に最適です。うま味成分も豊富に含まれているかたは、角切りにしてシチューやスープなどのじっくり煮込む料理に用いると良いでしょう。
【2】ばら
ばらもかたと同様に、薄切りにして煮物料理にも使いますが、角切りであればボルシチなどの長時間煮込む料理に向いています。赤ワイン煮込みにすれば見た目も豪華になるため、おもてなしの場にもおすすめです。和風の味付けがお好みの場合は、牛肉の大和煮にすると良いでしょう。
【3】そともも
「そともも」もカレーやシチューなどによく用いられます。購入する際には、「もも」と間違えることがないように気をつけてください。うま味成分を豊富に含んだそとももは煮込み料理に適していますが、ももは加熱し過ぎると固くなってしまうという性質があります。
【4】その他
あまり流通はしていませんが、「テール」「すね」などの部位もじっくり時間をかけて煮込むような料理に向いています。手に入った際には、テールスープや牛すね肉の煮込みなどに挑戦してみてはいかがでしょうか。

おわりに
牛肉の部位にはそれぞれ特徴があるため、料理によって向き・不向きがあります。どれだけ上質な肉だとしても、向いていない料理に使用してしまっては肉の魅力を損なってしまうかもしれません。煮物や煮込み料理を作る際には用途に合った部位の肉を選び、料理の味をより一層引き立たせましょう。