
精肉店やスーパーでは、さまざまな牛肉が販売されています。消費者としては、陳列されたたくさんの肉の中から、できるだけ新鮮で美味しい肉を選びたいものです。しかし、肉の鮮度や美味しさの見極め方が分からずに迷ってしまうという方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、新鮮で美味しい牛肉の選び方をご紹介します。
美味しい牛肉ってどんな肉?
食肉は、加工した後に一定期間寝かせてからスーパーなどの市場に並びます。寝かせる期間は保存温度にもよりますが、牛肉の場合10日~14日程度が一般的です。つまり加工されてから消費者の手に届くまで、2週間近い時間が掛かっているのです。
「生ものをそんなに寝かせておいて大丈夫なの?」と心配する方もいるかもしれませんが、徹底した温度管理のもとで保存されているため問題はありません。むしろ美味しい牛肉にとって、寝かせるための期間は欠かせないものです。なぜなら、加工したばかりの肉は死後硬直の影響で非常に固く、うま味も少ないからです。牛肉のうま味成分であるイノシン酸は肉を寝かせている間に増加し、出荷されて市場に出た頃ピークに達します。そのため、新鮮で美味しい牛肉とは加工直後のものではなく、程良く寝かせた後に出荷された直後の肉のことだと言えるのです。

美味しい牛肉選びの5つのポイント

肉の美味しさは脂肪にあると言われています。また、脂の乗った牛肉かどうかはその肉のツヤを見れば分かります。
しかしながら、肉のツヤと言われてもあまりピンと来ない方もいらっしゃるのではないでしょうか?そこで、美味しい肉を簡単に見極めるための5つのポイントをご紹介します。
- 1:原産国や品種(国産牛か輸入牛か、または和牛かなど)。
- 2:肉色が鮮やかな薄紅色である。
- 3:ドリップ(赤い汁)が出ていない。
- 4:脂身の色が白または乳白色である。
- 5:脂身と赤身の境目が鮮やかである。
牛肉の美味しさを決める要因で特に重要な点が、脂身と赤身のバランスです。脂身だらけでほとんど白っぽく見えている肉や脂身がない真っ赤な肉よりも、程良く脂身が混ざった肉を選びましょう。一般的には、脂肪含有量30~40%程度の肉が、最もうま味成分を多く含んでいると言われています。
こんな状態の牛肉には要注意!
前述した美味しい牛肉選びのポイントを踏まえた上で、逆に「選んではいけない」牛肉のポイントも4つご紹介します。
- 1:黒ずんでいる。
- 2:脂身と赤身の境目がはっきりしていない。
- 3:脂身の色が黄色くボロボロ。
- 4:肉の表面が乾いている。
1つ目の「黒ずんでいる」かどうかというポイントには、例外があります。例外とは、肉が包装材の中で重なっており、下にある肉が黒ずんでいる場合です。肉が重なっている場合、下の肉が黒ずんでいても鮮度が悪いわけではありません。なぜなら、そもそも切ったばかりの肉は暗赤色をしており、カットされて空気に触れると30分程で薄紅色に発色するためです。重なった部分が黒ずんでいるのは、空気に触れる機会がなく色素の発色作用が起こっていないだけです。ただし、重なっていない部分が黒ずんでいる場合は鮮度が悪い可能性があるため注意しましょう。

おわりに
多くの生鮮食品が鮮度を重視されるように、肉も鮮度が大切な食品です。しかし、肉の場合は魚のように「収穫・加工したばかりのもの」ではなく、「市場に出回ったばかりのもの」が最も食べごろで新鮮だと言えるのです。
牛肉選びのポイントを買い物の際に少し意識するだけで、より良質な肉を手に入れられるようになるはずです。ぜひ今回ご紹介したポイントを参考にして、鮮度バツグンの美味しい牛肉を選んでください。