
肉屋の店頭やスーパーの精肉売り場には、ステーキ用、カレー用、焼肉用など、用途に合わせてさまざまにカット・スライスされた牛肉が並んでいますが、近年注目を浴びているのがブロック肉です。ブロック肉は、大きなかたまり状の肉を自宅で切り分ける手間は掛かりますが、切り方を自分で工夫することで、おいしい肉を無駄なく食べられる点が魅力です。
そこで今回は、肉の用途別に牛ブロック肉の切り方をご紹介します。
【下ごしらえ】筋に沿っておおまかに分けることがポイント
ブロック肉を上から見てみると、白い線で肉が区切られていることがあります。これは硬い筋(すじ)の部分です。場合によっては、細かい筋がびっしり入っている部分もあるでしょう。筋が多いか少ないかは牛肉の部位によって異なります。煮込み料理によく使用されるスネや肩などは筋が目立つことが多いため、調理する際は注意しましょう。一方、ステーキ用の肉として人気の高いサーロインやヒレなどは、比較的筋が少ない部位です。ブロック肉初心者の方は、サーロインなどの筋が目立たない部位から購入することをおすすめします。
下ごしらえをする際は、まず大きな筋に沿って肉を切り分けていきます。筋がまな板に対して平行になるように肉を置き、肉の側面から包丁を入れて、肉本体を傷付けないように切っていきます。あるいは、手で筋の部分をはがすようにし、ちぎれない部分だけ包丁で切っていくようにしても良いでしょう。
分けた肉の表面には、薄い筋が膜のように張り付いています。包丁を肉に沿わせるようにして、この薄い筋の膜を丁寧に取り除いていきましょう。大きな筋がなくなるまでこの作業を繰り返します。
以上で下ごしらえは完成です。筋の少ない部分、細かい筋の入った部分、筋の3種類の部位が切り取れたことになります。
細かい筋が多く入っていて切り分けきれない部分は、そのままひとかたまりにしておきます。取り除いた筋と一緒に保存して、煮込み料理に使用するためです。
【ステーキ用】少し凍った状態で、繊維に対して垂直に

ブロック肉をステーキ用にする際のポイントは、少し凍った状態にして切り分けることです。切り分ける前にラップに包んで1時間程度冷凍庫に入れるか、あるいは冷凍したものを半解凍して使用すると良いでしょう。肉の形が崩れにくくなるだけでなく、肉の脂で包丁を傷むことを防げます。
肉を切る際は、繊維に対して垂直に包丁を入れていきましょう。繊維に沿って切ってしまうと、肉の柔らかさを活かしきれず、ステーキが硬い仕上がりになってしまうこともあるため注意が必要です。
また、せっかくのブロック肉ですから、2センチ以上の厚切りにしてボリューム感たっぷりのステーキを楽しむことをおすすめします。
【焼肉用】小ブロックをさらに切り分け、薄切りに

焼肉用の切り分け方は、ステーキ用の切り分け方の応用です。
筋の少ないブロック肉を少し凍らせた状態で、繊維に沿って棒状に切り分けます。その後、繊維に対して垂直に包丁を入れて、薄切りにしていきましょう。焼肉用の肉の厚さは、鉄板で焼く際は5mm程度がおすすめです。直接火であぶる網焼きの場合は、7mm程度とやや厚めにしても大丈夫です。
【煮込み用】筋の部分も有効活用、常温でカット

細かい筋の入った部分や筋の部分は、煮込み料理に適しています。硬いからといって捨てずに有効活用しましょう。
筋の多い小ブロックは常温で切り分けるのがポイントです。一度冷凍してしまうと完全に解凍することが難しいため、冷蔵庫に入れて保存しましょう。
肉の切り方は、他の用途と同じです。繊維に沿って包丁を入れ、一口大に切っていきます。筋に対しては垂直に切れないため、下ごしらえの際と同様に筋に沿って肉をはがすようにして、ブロックを細かくしていきます。はがした筋の部分は、包丁の先を使って適当な大きさに切りましょう。
おわりに
牛肉の大きさも厚さも自分でアレンジできるブロック肉の切り方を、用途別にご紹介しました。カット・スライスするプロセスから楽しめるおいしい牛ブロック肉の調理、ぜひチャレンジしてみてください。