現代の日本の食文化の中では、食材の中心とも言える食肉。特別なご馳走で食べる高級な牛肉や、日常の食事で取り入れられる豚肉や鶏肉、頻繁に食されることは少ないかもしれませんが、羊肉や馬肉など、様々な動物のお肉を頂き食事をしていますよね。
しかし、昔の日本では食肉文化は根付いておらず、動物性タンパク質の摂取源は主に魚でした。こちらの記事では、日本で食肉文化が定着した歴史や、現在日本料理としてお肉が楽しまれているメニューなどをご紹介してまいります。
1.日本の食肉文化は明治時代から

日本で食肉文化が始まり、根付き始めたのは、明治時代からとなっています。まさに、「文明開化」の1つと言えますね。そもそも、元々縄文時代や弥生時代といった古代には、猪などを狩り食するという文化がありました。しかしその後、仏教が普及し始めた時代になると、「生き物を殺して食べるのはいけないことである」と提唱されるようになりました。
そこからずっと、日本では食肉の文化がはっきりと生まれることはなく、基本的にタンパク源は魚というような食生活がされていました。とは言え、鶏肉は食べても良かったり、ウサギを鶏という扱いで食べる方がいたりしたようです。馬肉のことを「さくら」と呼ぶのも、肉を食べているのを隠すための隠語だったと言われています。
このように、こっそりと肉を食べる方はいても、文化としては根付いていない時期を経て、明治時代になり、「すき焼き」が登場。そこから徐々に、食肉文化が広まり始めたとされています。戦後にはまだ高級品だった牛肉も、今や手軽に手に入る時代となりました。
2.日本料理で人気なお肉料理は?

日本料理屋などのお店で、お肉をメインにしたメニューで人気が高いのが、すき焼きやしゃぶしゃぶ、牛たたきなどです。自宅ですることもできますが、お店で食べるならよりリッチ感が味わえるメニューですね。自宅で和食の肉料理をする場合は、肉じゃがだったり肉豆腐だったり、様々なメニューに使われます。だしや醤油を効かせた味わいにすることで、和の雰囲気が高まりますね。
3.日本料理のお肉料理をチェック!

ここからは、特に外食産業で人気の高い、お肉の日本料理をもう少し詳しくご紹介していきます。
・すき焼き
特別な日に食べる方が多かったり、ご馳走だと考えている方も多いであろうメニュー、すき焼き。甘辛いすき焼きのたれで、すき焼き用の牛肉や豆腐、白菜や長ネギ、糸蒟蒻などの具材を炊いて、といた生卵に付けて食べる、言わずも知れた定番の日本料理ですね。そんなすき焼きですが、実は地域によって作られ方が違います。関東では、割下と呼ばれるたれで「煮込む」のですが、関西では、牛脂を使って肉を「焼く」のが主な作り方です。関東の場合は、鍋をする要領ですが、関西の作り方は肉に火が通ってから砂糖や醤油で味を付けて、そこから水分の多い野菜を入れ、野菜から出る水分のみで味を薄めます。そのため、関西風のすき焼きの方が味が濃いめになっているのも特徴の1つです。
・しゃぶしゃぶ
しゃぶしゃぶは、昆布などで取られた出汁に、薄く切った牛肉をくぐらせて、火が通ったところでゴマだれやポン酢を付けていただく料理です。しゃぶしゃぶという名称は、1952年に大阪の永楽町スエヒロ本店にて料理を出す時に命名されたと言われています。おしぼりをたらいですすぐ姿が、鍋の中で肉を加熱するのに似ていたことや、その水音が由来だそうです。しゃぶしゃぶ専用の鍋には、中央に煙突のような円筒があり、これは昔は七輪を使っていた名残と言われています。この円筒のおかげで、火力が増強する効果もあるそうです。
・牛タン焼き
主に、仙台のご当地グルメとして有名な、牛タン焼きです。仙台で普及した歴史としては、第二次世界大戦のあと、仙台に進駐したGHQが牛肉を大量に消費し、その中で残されたタンやテールを有効活用しようと、焼鳥店の店主が牛タン焼き専門店を開いたのが始まりと言われています。
仙台牛タンは、厚切りの牛タン焼きに麦飯、テールスープ、浅漬けという定食になっているのがそのスタイルです。タンとテールが残されていたところから考えられたメニューだということが分かりますね。麦飯も、当時米不足だったところから決められたメニューで、今もそれが伝統として受け継がれています。
・馬刺し
古来から、食肉として日本で食べられていた馬肉を刺身にして食するのが、馬刺しです。馬刺しには、「トロ」や「霜降り」、「赤身」といった部位があり、薄切りにしておろし生姜やおろしにんにく、刻み葱などの薬味を醤油に入れ、付けて食べます。馬刺しを使った肉寿司なども、提供されています。日本の中では、特に熊本や長野、山梨などで郷土料理として食べられています。これらの地域は、昔から馬が名産であり、馬肉の文化が根付きやすかったと考えられます。
4.まとめ

お肉の日本料理についての記事は、参考になりましたか?日本の歴史からすると、まだそれほど長くはない食肉文化ですが、昨今の食文化の中では深く定着していると言えるでしょう。実際のメニューとしては外食産業で食べられているものを紹介しましたが、家庭で食べられている和風のお肉料理はまだまだ数多く存在します。様々な調理で、お肉の料理を楽しんでくださいね。